振り向けば奴がいる? −偽総研的幻獣辞典−
−このお話はあくまでフィクションです−
ここにある星があったとしよう。
たまたま地球そっくりで、たまたま巨大な月があって
たまたま生命が誕生したラッキーな星だ。
そして多細胞生物が生まれたことにしよう。
…そうしないと話が始まらないんだよ。
で、多細胞生物がいろいろ進化しだした。
特に今から6億年前くらい、カンブリア爆発と呼ばれた時代の
ようになった、そこまで仮定の話。
さて、彼らは史実では滅び去ったが運良く滅びなかったとする。
で、何が起こるというのか。
まず、人類、いや哺乳類はおろか鳥類も魚類も生まれないかもしれない。
この時代海の帝王は「アノマロカリス」であり、我らがご先祖は
「オパリア」という貧弱で殻も持たないヨワっちい生き物だった。
帝王アノマロカリスを頂点に、海の生物は独自の進化を遂げる。
何せ競合する魚も海竜もクジラもいない。
アノマロカリスを中心に、巨大海産甲殻類がさらに巨大化する。
甲殻類でありながら、外敵がいないため想像を絶した巨大化を
するかもしれない。水中だから外骨格でもある程度でかくなれるし。
唯一頭足類(タコイカ)がライバルになる可能性はあるが。
超巨大甲殻類は、現在のヒゲクジラの地位を占めるものと
歯クジラの地位を占めることになるだろう。
そんな中、その他独自の進化を遂げる甲殻類も出現する。
特に海の表層近くをしめる甲殻類の一部は、現在のニシン科の地位を占め
やがてある進化を遂げることになるが、これはまだ置いておこう。
そんな中、巨大甲殻類に襲われていたムカデ類の一部が川へ向かう。
もっともムカデ類が滅ぼされない保証も無いが、まだ我らがご先祖よりは
はるかに強かったんだよな昔は。
そして史実どおり昆虫が誕生するが、魚というライバルがいない以上
地上は完全に昆虫の領土と化し、さらに最大まで巨大化が進行。
ここも史実どおりだが、競合する敵がいないため巨大昆虫はちぢむことも無い。
そんなわけで虫嫌いにとってはこの世の地獄、虫好きには天国がうまれる。
当然昆虫だから空を飛んで世界を席巻するはず…だが、ここに意外な
強敵が現れた。
海中甲殻類を祖とするオッズと呼ばれることもある彼らは、
飛行のための独自の進化を遂げ昆虫と競合し始めた。
その飛行速度は極めて速く、中には音速を上回るものも出現したと
いわれている。(勘のいい人はこれで分かった?)
複数枚の羽根で水中と空中を自在に飛ぶ。
その飛行能力は昆虫をも凌駕し、昆虫は彼らに食われる生贄となった。
その星の空は彼らのものとなった。
ある時、一機の宇宙船が着陸しようとした。
不意に宇宙船に音速を超える物体が衝突した。
宇宙船はやむなく帰還することになった。
音速以上の兵器が見られるのにそれだけのものを作れる住民もいない。
おそらく自動兵器が暴走しているのだろう。
そして文明は滅んでいると、彼らは考えた。
宇宙船は修理され、別の惑星に向かった。
その星の名は彼らの言葉で「地球」というらしい。
文明といえるものはあったが大した収穫も得られなかったので帰る事にした。
しかし、彼らはとんでもないおき土産を置いていってしまった。
衝突したオッズの卵から子供が生まれ、それが地球に放たれたのだ。
こうして1990年代からいわゆる「スカイフィッシュ」が見られるようになった。
スカイフィッシュは独自の進化を遂げた甲殻類だったんだよ!!
…という話が本当だったらいいなぁ(遠い目で川エビ食べつつ)